推しが新感線に出た

2017年8月10日の朝を忘れない。髑髏城の七人 season月が情報解禁になった日だ。いつも通りに起床し、いつも通りにツイッターを開き、叫んだ朝。新感線公式ツイッターのワッツニュー!に鈴木拡樹の名前がある。下弦の月??天魔王???何が何だかわからない。

そうして、私の幸せな半年が始まった。

私が初めて新感線を観たのは2001年の野獣郎見参だ。当時の私は年間100本以上の芝居を観る小劇場オタクだった。それから17年、毎回欠かさずとまではいかないもののコンスタントに足を運んでいた。日本のエンタメのトップ劇団だと思っていたし、当然髑髏城の七人も知っていた。

私が鈴木拡樹推しになったのは2015年のペダステだ。当時の私は某アーティストのファンを辞め、次の推しを探していた。それから3年、出演作もイベントも全て足繁く通った。2.5次元舞台の中ではトップクラスの実力だと思っていた。

そんな2つが邂逅するとは、思ってもいなかった。

往年の新感線ファンの困惑や拒否反応は最もだと思った。少なくとも私は自分が2.5次元舞台に多く出演する俳優を推していなければ同じ反応をしていたと思う。けれど、私はもう鈴木拡樹を知っていた。この反応を覆す天魔王を観せてくれると信じて疑わなかった。

拡樹くんの天魔王!最高じゃないか!こんな夢みたいな事が起こるなんて!!!

ビジュアル公開、製作発表、VS嵐SNSで垣間見る稽古の様子、チケット取りさえも、全部全部幸せだった。これまで2.5次元舞台に誘っても興味を示さなかった友人が新感線ならと一緒にチケットを取ってくれた。そんな劇団に推しが出てくれる事が本当に幸せだった。

あんなに初日を心待ちにした事はなかったし、もしこの先また拡樹くんが新感線に出演する事があっても、2017年11月25日の初日ほど待ち侘びる事は無いと思う。お馴染みのJudas Priestを聞きながら、あんなにドキドキする事もきっともう無いと思う。

六欲天をご存知か」という第一声から落ちる瞬間まで、台詞の合間に入る拍子木が、かの有名な口説きの台詞を拡樹くんが発している事が、拡樹くんが天魔王として板の上にいる事が嬉しくてひたすら夢見心地で誇らしかった。

新感線を知っていて本当に良かった。
髑髏城を、天魔王を知っていて本当に良かった。
拡樹くんを推していて本当に良かった。

それから3ヶ月。
明日2月21日で髑髏城の七人 season月が終わる。幸せな半年が終わる。

今まで推し個人への執着しかなかった私は、次にどんな推しが観られるのかという期待や楽しさしか感じなかったので、1つの公演が終わる事に対するロスになった事がない。きっと明後日から生まれて初めてのロスに悩まされる事になる。

でもきっとそれすらも幸せだ。

ロスに陥るくらい、執着できる推しが永遠に観ていたいと思える役を演じてくれた。これを幸せと言わずになんという。ありがとう。本当にありがとう。

ロスに恐怖する幸せを噛み締めて、明日、最後の下弦の月に登城する。